1週間で効果が表れた

実際に笑いヨガを続けている人には、どのような変化が起きているのだろうか。

「体調が良くなったのはもちろん、離婚の危機も回避できました」と話してくれたのは、英会話学校の講師をしているキニンモント早苗さん(58歳)だ。

早苗さんは島根県にいた頃、ニュージーランド人の夫と結婚。娘を出産後、2007年にニュージーランドに移り、翌年帰国する。しかし日本で暮らすうちに子育ての方針ですれ違うことが多くなり、夫婦関係が悪化したのだという。

「当時、夫とはケンカばかり。離婚を考え、毎日慰謝料の計算をしていました。そんな病んだ自分を変えて健康になりたくて、翌年の元日から、近くの神社で開催されているラジオ体操に通い始めたのです。ある日、木の下で笑いながら謎の体操をしている女性と遭遇して、変な人がいるなあ……と眺めていたら、『一緒にやりませんか?』と誘われて。それが高田さんとの出会いでした」

1週間だけ高田さんにお付き合いするつもりで始めた早苗さん。ところがその後、彼女の体に変化が起きる。

「そろそろ1週間というある朝、バナナ状のすごくいい便が出たんです。その頃の私はずっと胃腸の具合が悪く、常に下痢か便秘だったのでビックリしました。『これは笑いヨガの効果に違いない』と、しばらく毎朝20分のトレーニングを続けてみることにしたのです」

その後、早苗さんの不調は次々に改善していく。まず、英会話学校で授業をするたびにかれていたのどが強くなり、いつしかのど飴いらずに。スタミナがついて疲れにくい体にもなった。さらに2ヵ月が過ぎると、40代の頃から悩まされてきた耳鳴りが消えていたというからすごい。

「1年後には、平熱も35度台から36.4度になって風邪をひきにくい体に。精神的にも穏やかになり、カリカリしなくなりました」と早苗さんは言う。何より大きかったのは夫との関係が改善されたことだそう。

「笑いヨガに《ケンカ笑い》というものがあります。これは相手を指さしながら、『ハハハハ』と声を出してストレスや気持ちを発散するのですが、夫とケンカになった際、怒鳴る代わりにやってみたんですね。すると彼が『何だ?』とキョトンとして。私が怒りのあまりおかしくなったと思ったんでしょう(笑)。でも、その頃から彼の態度が変わっていったんです」

実は夫も、笑いヨガを始めた早苗さんが明るくほがらかになってきたことに気づいていた。早苗さんが優しく接すれば夫も優しくなる。相乗効果で、家庭内の雰囲気はどんどん良くなっていったという。

「その後、本格的に母の介護が始まり、疲弊して体調を崩したこともありましたが、笑いヨガを続けてなんとか乗り切りました。体操で笑っていると、ポジティブな方向に心が向くし、いい意味で《いい加減》になれるので、心身へのダメージが最小限で済むんです」

体と心が復調した今も、日課として笑いヨガを続けているそうだ。