すべてランチのおまかせコース6500円から。手前の「シャルキュトリ盛り合わせ」は、放牧豚で作ったハムにテリーヌ、そしてイタリアの辛いソーセージ・ンドゥイヤと蝦夷鹿のサラミ。ハムはしっとりとした口当たりながらしっかりとした歯応えもあり、嚙み締めるほどに濃い旨みが舌に広がる。上にのっているのはイタリアのチーズ・ストラッチャテッラ。奥は「蝦夷鹿のサルシッチャ」

 

ジビエ初心者こそ訪れたい

ここ数年、よく耳にするようになった“ジビエ”。狩猟で捕獲した天然の野生鳥獣の食肉のことで、ヨーロッパでは、領地を持つ王侯貴族のみが楽しめる高級かつ伝統の料理でもあった。

自然を自由に駆け巡っていればこその、家畜にはない身の締まりと張り、精悍な肉の旨みがなんといっても持ち味だろう。とはいえ、野生ゆえの獣臭が気になるケースもままある。捕獲後の処理が味の良し悪しを左右するのだ。

「蝦夷鹿もも肉のステーキ赤ワインソース」。写真は2歳の雄鹿。鉄分の旨みが濃くピュアな味わい。コースにはほかにデザートも付く

そこでお勧めしたいのが虎ノ門横丁にオープンした「エレゾゲート」。北海道・十勝の食肉料理人集団「エレゾ」が手がけるビストロだ。社員全員が狩猟免許を持つ料理人というだけに、仕留めた後のケアも万全。写真の蝦夷鹿のステーキにしても、素早く血抜きをしているから、健やかな美味しさが楽しめる。

また、自社牧場で育てる放牧豚の旨さも見逃せない。通常は6ヵ月で出荷する豚を、「エレゾ」ではジビエよろしく自然の中に180日も放牧。それゆえ「筋肉質で旨みが濃く、脂も肉質もクリアな味わいの豚になる」とは佐々木章太オーナーシェフ。ランチでは、その豚で作るハムや鹿肉ソーセージなど自家製シャルキュトリも魅力の一つ。ジビエ初心者こそ訪れたい一軒だ。