婦人公論の連載「おでかけランチ」では、話題のレストランの珠玉のランチをご紹介しています! 今回は東京・自由が丘にある、イタリア料理店「mondo」のランチを見てみましょう。(構成=森脇啓子 撮影=浜村多恵)

根底にあるのは、他でもない“マンマの味

自由が丘駅から歩いて10分あまり。閑静な住宅街の中、人目を避けるかのようにひっそりと建つ一軒家。ここがイタリア料理店「mondo」だ。表通りに置かれた大きなガラスボールが唯一の目印。そこから階段を降り、緑の小径を進むアプローチにも心躍る。

オーナーシェフの宮木康彦さんは、青山「アクアパッツァ」で修業後、渡伊。3年間研鑽を積んだ実力の持ち主だ。人気のランチは、滋味豊かな一口サイズの野菜スープから始まり、前菜、プリモ各2皿にメイン、デザートと続くフルコース。

「鹿児島産黒豚肩ロースと王様椎茸のスカロッピーネ」。薄くスライスした豚をレモンバターソースで仕上げた一皿。料理はすべて6000円コースから

 

手前は「金目鯛と根菜のリゾット」。お米は、北海道のゆめぴりかを使用。「芯の残り加減が日本の米の方があっているから」とは宮木シェフ。リゾットには、菊芋や人参、大根など根菜がたっぷり入っている。奥が「月の輪熊とセリ」。熊肉の下にはトリュフ入りのスクランブルエッグが隠れている

「日本ではあまり知られていないイタリアの基本的な料理を、奇を衒(て)らわずきっちりと出したい」との言葉通り、メインはイタリアの伝統的な料理の一つ「黒豚のスカロッピーネ」。一方、前菜には月の輪熊とセリのサラダ仕立てのような和の食材を取り入れた一皿も登場。熊の肉はウイスキーやマルサラ酒、コラトゥーラ(イタリアの魚醤)で作ったタレにくぐらせる遊び心も興をそそる。

だが、その根底にあるのは、他でもない“マンマの味”。それゆえ「できるだけ作り置きをせず、出来たての美味しさを目指している」と宮木シェフ。美術館を思わせる開放的な店内で寛ぎのランチをぜひ。