勤務先の施設で、私は何人もの入居者を見送ってきました。ご遺族によると、死の数日前から、「なんだろう、おかしいな」と思うような言動を見せることが多いそうです。後日亡くなってから「もしかして、あれが死の予兆だったのか」と気づく、と。そういえば夫も、死の1週間ほど前に、私が好きな炭酸ジュースを買ってきてくれた。ふだんならばそんなこと絶対しないのに……。

いまでも娘たちは、「お母さん、そんなに自分を責めなくていいよ」と慰めてくれます。でも、どんなつらい目にあわされても、私が選んだ人。味わった苦労も、私が成長するのに必要なことだったのだと、いまは思います。他人には理解してもらえないかもしれませんが、もしまた夫に出会えたら、もう一度人生をともにしたい。

結婚前、夫は時々手紙を私にくれました。この手記は、私から夫への、人生最後のラブレター。生前に感謝の言葉を伝えられなかったことが、私にとって最大の後悔です。


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