《ブレない自分》を作ってくれたもの
今、こうして私がいろんな活動に取り組むことができるのも、宝塚で過ごした17年間があったからこそ。振り返ってみれば、自分の個性について、あんなにも深く考え抜くことは、宝塚に入らなければ絶対になかったと思います。
入団したての頃は、自分を否定してばかり。男役としては身長が高いほうではなかったし、体つきも華奢なので、王道の役は向いていない。人一倍大きな目も、切れ長がよしとされる男役には似合わない。そんな自分の欠点をどうしたら補えるのかと、入団してからの10年間は必死にあがいていた時期でした。
目が小さく見えるようなメイクを研究したり、背の低さをカバーしようと人の何倍も努力してレッスンに励んでも、6年目くらいまで自分が望んでいるような役はつかなくて。いくら頑張っても結果が出ないことに落ち込んで、「結局、自分はダメなんだ」と、ふてくされていた時もありました。
それでもくじけずに努力を重ねていたら、10年目を過ぎた頃に奇跡のようなできごとがたくさん起こり、自分が憧れていた役に抜擢していただいたり、やりたかった演目に次々と出していただけるようになったのです。本当に嬉しかったですね。
逃げずに頑張っていれば、こんなにも後からだけど、必ず花が咲くんだなって。「結果は後からついてくる」という言葉を、あれほど実感したことはありません。