自律神経の《さび》が老化につながる
梶本 最近も疲れることが多いというお話でしたが、実は自律神経の機能は20代から低下し始め、40代ではピーク時の約半分、60代では4分の1まで落ちてしまいます。さらに女性は更年期に自律神経が乱れがちですから、注意が必要なのです。
松本 それはショック! なぜ機能が低下してしまうのでしょうか。
梶本 自律神経が働くとき、神経細胞では多くの酸素を消費します。このとき発生する活性酸素が自律神経の細胞をさびさせて、本来の機能を低下させてしまう。いったん低下しても元に戻る余地があるのが「疲労」。回復が追いつかず、さびがこびりついてとれなくなるのが「老化」です。
松本 疲れがたまると、老化につながってしまうのですね。
梶本 お肌でも、紫外線などのダメージを放置するとシミやシワが増えてしまいます。それと同じことが脳の中でも起こっていると考えたら、ぐっと危機感が高まりませんか。(笑)
松本 たとえば体形がだらしなくなっても、筋トレを頑張れば若々しいボディが復活しますよね。自律神経も、どうにか鍛えることはできないものでしょうか。
梶本 残念ながら、自律神経は一度老化してしまうと鍛え直すことはできません。ちなみに疲れを放置すると、内分泌系のバランスが崩れ、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病のリスクも高まります。さらに免疫系にも影響が出て、風邪が治りにくい、細菌性の胃腸炎が長引く、帯状疱疹が出るといったトラブルも起きてしまう。
松本 免疫系というと、新型コロナウイルスにも?
梶本 少なからず影響はあると思います。
松本 うわあ、それは大変!
梶本 だからこそ、疲れが老化に進む前に、生活習慣や環境を見直すことが大切なのです。