自分が何を考えているか、なぜ不機嫌なのか

松任谷 ちなみに、スーさんが男性に求めるものって何ですか。

スー 素直さ、そして自分の感情を把握していること。

松任谷 用意してあったような速さで答えましたね。(笑)

スー 男性は、自分が何を考えているか、なぜ不機嫌なのか、あまり言語化しないように見えます。言葉にしない感情は、心を許した相手に不遜な態度として放り投げられ、それを産廃業者のように受け入れている女性も少なくないかと。

松任谷 女性は言語化を望むけれど、男性は求められると余計に意地を張る。それはこっちの行動を女性が見ていなかったことへの失望感というか、「見ればわかるでしょ」ということなんだと思う。

スー つまり「察してクン」っていうことですか? それは厳しい。

松任谷 相手の気持ちを言語化するという意味で、イマジネーションの問題じゃないですか。

スー 最近の20代、30代の男性はかなり変化していて。ゆとり教育のおかげか、自分の気持ちを素直に言語化できる人が増えていると思います。

松任谷 僕も、自分の気持ちは言語化できるほうだと思うけどな。

スー きっとそうだと思います。今日一番感じたのが、松任谷さんは妙な力の誇示をしない方だということでした。男女を問わず、こういう話を面白がって聞いてくれる人って、人生が充実していらっしゃるんですよね。いやあ、今日は本当に楽しかったです。

松任谷 え、これで終わり?

スー いろんなお話もうかがえたし、私の話も聞いていただけて大満足です。

松任谷 こっちは帰ってから知恵熱が出ちゃいそうですよ。(笑)

本記事は2020年11月に収録したものです

※3月23日に中央公論新社から刊行される松任谷正隆『おじさんはどう生きるか』にこの対談のロングバージョンが収録されます