音楽プロデューサーの松任谷正隆さん、69歳。コラムニストのジェーン・スーさん、47歳。ほぼ初対面の2人が中年以降の生き方を語り合ってみたら──後編は、「おじさんが時代に取り残されてしまう理由」を考察します(構成=山田真理 撮影=木村直軌)
なぜおじさんは、時代とズレてしまうのか
スー 松任谷さんは早く年をとりたいと思ったことは?
松任谷 これ以上は年をとりたくないな。頑固になりそうだし。
スー 男性に“見えていない”ことでいえば、女性が賃貸物件を探す時に「2階以上」という条件を付けるというのがあります。
松任谷 へえ、知らない。
スー 住人が女性だと窓から泥棒に侵入される危険や、干している下着を盗まれる可能性があるから、選びたくても選べないんです。
松任谷 それはそれで納得のいく理由だと思うけど……。
スー いやいや。なぜ不当な理由を、被害を受ける側が背負わなければならないのか、という話で。
松任谷 なるほど、確かに。
スー こういう話題になると、「女性というだけで得する面もあるだろう」と反論してくるステレオタイプなおじさんもいて、揉めることもあります。(笑)
松任谷 ステレオタイプなおじさんって、どういう人ですか?
スー 自分の権力や、男性というだけで恵まれた立場にいることに無自覚な人です。あとは、不用意な発言を繰り返したり、釈明の発言がまた壮大に時代の感覚とズレていたりする人でしょうか。
松任谷 やばいな、僕も典型的なおじさんかもしれない。