小木一家と一つ屋根の下で暮らす

二人とも性格はそれぞれですが、娘のほうはハッキリと好みがあり、きっぱりとものを決めるタイプ。自立心も早く芽生えました。高校時代に海外留学したいと言い出したときも、私は「早いわよ、行かないでぇ〜」って泣いて引き留めたけど、さっさと自分で手続きをして飛び立ってしまって。私の父がロンドンのホームステイ先まで送り届けましたが、どこでどう乗り物を乗り換えるか全部わかっていた……とビックリしていました。

でも、そういう娘だから、今は頼りになる存在です。私が「どっちを選ぶべきかしら?」と迷っていると、即座に「こっち!」と答えてくれます。常に時代の変化を意識して生きている若い世代の、物の捉え方、考え方に私はとても興味があります。

私は、2017年から娘家族と一つ屋根の下で暮らしています。娘が小木(お笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明さん)と結婚したのは06年。3年後には孫娘が生まれました。

その頃、同居していた母が他界し、自分も70歳を目前にしていて……。そこである日、娘夫婦に完全分離型の二世帯住宅を建てない? と提案しました。完全分離型なら、一人になりたいときは一人で過ごせるし、会いたいときはいつでも会える。ずっと考えていたことでした。実際、ドアtoドアで2メートルの隣同士に暮らしていながら顔を合わせない日もありました。コロナ感染が広がるまでは。

私は20年の2月初旬に行ったステージを最後に、自粛生活に入りました。それまではコンサートで全国を飛び歩き、移動日を含めると年の3分の2ほど家を空けている状態。残りの3分の1も仕事が山積していて、家族とゆっくり過ごす時間はありませんでした。

ところが何もかもがピタリと停滞してしまった。たっぷり時間ができた私は生まれて初めて主婦業に専念。慣れない料理を日々作り、一人で食べるのはつまらないので、「こっちに来て一緒に食べない?」と娘一家を誘うようになり、今は4人で夕飯の食卓を囲むのが普通になりました。