「療養中は、たくさんの方から励ましの言葉をいただきました。なかでも支えになったのは、山田洋次監督から送られた直筆のお手紙です」
10代前半から芸能界で活躍してきた今井翼さん。2018年3月より活動を休止していましたが、20年から少しずつ芸能活動を再開。4月8日から始まる舞台で久々に主演を務めます。休養中のこと、そして舞台への意気込みは――(撮影=宅間國博 構成=上田恵子)

「おかげさま」の一言に尽きる年

14歳で芸能界に足を踏み入れて25年。これまで多くの人と出会い、得難い経験をし、数えきれないくらいたくさんの《夢》を見てきました。活動の途中で病を得て、2020年1月頃まで休養のための時間をいただいていました。

その間、期待や不安もありましたが、周囲の皆さんの理解と協力のおかげで、20年2月の第十回システィーナ歌舞伎『NOBUNAGA』で舞台に復帰させていただきました。振り返れば20年は、「おかげさま」の一言に尽きる年だったような気がします。

自分を休ませることは、自分自身と向き合うことでもありました。病の経験を経て、あらためて「この世界で頑張りたい」という気持ちを再確認できましたし、すべては健康あってのもの。今は、調子がいいからといって張り切りすぎず、体の声を聞きながらやっていくほうが、自分本来のパフォーマンスを発揮できると考えています。

療養中は、たくさんの方から励ましの言葉をいただきました。なかでも支えになったのは、山田洋次監督から送られた直筆のお手紙です。監督には13年の舞台『さらば八月の大地』、そして音楽劇『マリウス』でも演出していただき、お世話になっています。『マリウス』は監督が「男はつらいよ」シリーズを作るきっかけになった作品として知られているそうです。僕にとっては大恩人である監督からのメッセージは、大きな励みになりました。

手紙には、日頃からたくさんの映画やショーを観るといいこと、そして本を読むことなど、アドバイスも書かれていて、本当にありがたかったです。これからも自分が置かれた環境に感謝しながら、役者として成長していきたいと強く思いました。