ストレスを前向きにとらえる力

私は約25年にわたり、オリンピック選手をはじめとしたプロアスリートにメンタルトレーニングの指導を行っています。たまに「自分は超ポジティブなんでストレスとは無縁です」と豪語する選手もいますが、そういう「ニセポジティブ」は、最も大事な本番で対応できずに失敗します。

ストレスとのつき合い方は身体トレーニングと同じ。健康な体作りのためには、ある程度の負荷を筋肉に与えますよね。同様に、心の健康にもある程度の負荷を与えることが必要です。

「ストレスがまったくない人に比べ、ストレスはあるが、その事実を前向きにとらえている人は寿命が長い傾向がある」ことが、スタンフォード大学の研究でわかっています。その人に合った適度なストレスがあるほうが、結果的に「心の筋肉」が鍛えられ、心身の健康維持に重要な役目を果たしてくれるのです。

多かれ少なかれ、生きていればストレスはつきもの。そのストレスがさらなるストレスの原因にならないように、自分で上手に対処する方法が「適当力」です。

「長い間に染みついた自分の考えグセを直すのは無理」と言う方がよくいらっしゃいますが、考え方のクセを直す前に、大切なのは「気づく」こと。じつは、気づきさえすれば多くの場合、その後の行動を変えられます。

まずは適当力の活用のために、自分に興味を持ってみてください。あなたのタイプに合わせ、できることから一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。