食べ物には、体に影響を与えるさまざまな力があります。疲れや不調を和らげる食材や食べ方を漢方の専門家・櫻
井大典さんに聞きました。毎日に取り入れやすい簡単な漢方メニューも11個! 意外な料理で体がスッキリします!(構成=塚原沙耶 イラスト=本田佳世)

食養生で胃腸をいたわる

漢方では、人間も自然の一部であると考えます。その人が持つ自然治癒力を高めることで、病気の治療や予防をしていくのです。西洋医学の場合、MRIやエコーなどで、原因を細かく突き詰める。一方、漢方では、不調や症状に対して、体質や食生活、生活習慣などをトータルに見て原因を探り、治療します。

症状や不調の原因を考えるうえで重要なのは、その人がこれまで何を食べてきて、今に至るのか。食事の内容を聞けば、体の状態が想像できます。よく「何を食べたらいいですか?」と聞かれますが、まずは現状を見直し、不調の原因になっている食習慣を変えること。そのうえで体に合った食べ物を取り入れましょう。

東洋医学には、「薬食同源」という考え方があります。薬も食事も元は一緒であるという意味です。薬は病気になってから服用しますが、食べ物なら日常に取り入れられる。薬と食事の両方で体を治すのが漢方の治療です。

すでに深刻な症状がある場合には、薬を服用してください。未病の段階であれば、不調に合った食事で、じっくり時間をかけて改善するとよいでしょう。

櫻井大典さん

まずは自分の状態を正しく理解することが肝心。漢方では、人の体は「木(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素から成り立っていると考えます。「気」は生命の源となるエネルギー、「血」は栄養を体中に届ける血液、「水」は血液以外の体液すべて。この3つのバランスが崩れると、不調が生じるのです。

「気・血・水」それぞれが、不足しているか、あるいは滞っているかで、体質を気虚(ききょ)・気滞(きたい)、血虚(けっきょ)・瘀血(おけつ)、陰虚(いんきょ)・痰湿(たんしつ)の6つに分類します。次ページで、自分がどのタイプに当てはまるか確認して、体質に合う食材を取り入れてみましょう。