鏡リュウジさん(右)と水晶玉子さん(左)撮影:本社写真部
2020年は、新型コロナウィルスの感染状況に振り回される一方で、在宅勤務やリモート授業が一気に広がり、都市に住んでいた人たちが自然豊かな郊外へと引っ越すなど「新しい日常」も始まった1年でした。こうした社会の変化は占星術の世界とも重なっていると専門家の鏡リュウジさんと水晶玉子さんは話します。新しい時代へ移り変わろうとする今、私たちはどう過ごしていけばよいのでしょうか(構成=内山靖子 撮影=本社写真部)

縛られていたものから解き放たれる時代

水晶 2020年は新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界中の人々の生活に大きな変化がありました。占星術の世界でも、昨年は大きな節目の年でしたね。

 ええ。12月22日、「風」の星座である水瓶座の位置で、土星と木星がぴったり重なる「グレートコンジャンクション(大会合)」が起きました。それまで約200年間「地」の星座で起こっていた大会合が、今回は「風」の星座でしたから大きな変化です。

水晶 そして、この先の約200年はずっと風の星座で大会合が起きる。それで「風の時代」が始まった、と言われているんですね。

 大会合は約20年に一度起こり、そこで時代の流れが変化します。占星術の世界では、それがどの星座の位置で起きるかで、社会の価値観や個人の生活スタイルが影響を受けると考えられているのです。12星座は宇宙を構成する「火」「風」「水」「地」の4つのエレメントに分類され、その特徴が時代に反映されると言われます。

水晶 地の星座の特徴は、「固定」「物質」「経済」。だから、これまで約200年間続いた地の時代は、現実的でリアルなモノに最も価値があった。家も車も所有することが重要で、お金を持っていればなんでも望みが叶う、というように。

 それに対し風の時代は、目に見えない「知識」や「情報」が力を持ちます。また、地のキーワードが「安定」や「固定」だとしたら、風のキーワードは対極とも言える「自由」や「移動」。

水晶 たしかに、地の時代はさまざまなものに縛られていましたね。いい学校やいい会社に所属して、真面目に通うのが常識で、《場所》がステータスでした。それが今、どんどん取り払われています。テレワークもそうだし、旅先で休暇を楽しみながら仕事をするワーケーションもそう。

 僕は大学で教鞭もとっているのですが、コロナ禍でリモート授業になりました。これも時代の象徴と言えるでしょう。ちょうど節目にあたる年に世界中でコロナが感染拡大したことで、結果として風の時代らしさを後押しすることになったのではないかと思います。