イラスト:あずみ虫
子どもの人生に干渉し、害悪を与える「毒親」という存在。その親たちが老後を迎えたら……? 勝手な振る舞いを続ける父母に人生を左右されてきた鈴木さん(仮名・パート、51歳)。両親を反面教師にして、達観したことは?

父と母のけんかの仲裁はいつも私の役目

「尊敬する人は?」と聞かれて「両親です」と答える人は、この先は決して読まないでください。

実家は祖父の代から建具店を営んでいたため、両親はいつも忙しくしていました。私は物心ついてから結婚して家を出るまで、旅行に連れていってもらったこともなければ、親と外食もなし。記憶に残るような会話もしたことがありません。

父は79歳。引退して、現在は花や野菜を作り、少しですが販売もしています。78歳の母は、結婚以来ずっと専業主婦。私は三姉妹の長女で、実家から歩いて5分のところに住み、2人の妹も実家近くに住んでいます。

母は掃除が苦手で、家の中はいつも不潔でした。そのくせ自分の容姿に強いこだわりがあり、偏った美意識を子どもにおしつける。自分勝手で、子どものことより自分が一番好きな人でした。

私が通学区で2番目に偏差値の高い高校に合格したとき、母の放った一言に、あ然としたことを覚えています。「おまえのせいでみんなに無視される」。母は日ごろから近所の人の前で私のことを、「容姿に恵まれず、勉強もできないバカ。行ける高校があるのかしら?」と繰り返し言っていました。

自慢すると嫌われる、謙遜するのが美徳だ。そう信じていたのです。私が難関高校に受かったので、近所の人から見れば「あの奥さん、嘘つきね」ということになる。私のせいではありません。自業自得だと思います。