芸能人とはかくあるべし

清水 いまYouTubeで、武道館で行われたビートルズの来日公演の映像を見られるの。それこそ内田裕也さんは前座で出てるわけだけど、思ったより会場がシラケてて。

博士 わかる。みんなビートルズ目当てだもんね。ドリフターズなんて1分くらいしか演奏してない。

近田 裕也さんも、「ビートルズが見たいから出た」って言ってた。

清水 私がずっと不思議だったのは、近田さんのようなタイプの人が、どうして裕也さんと長くつき合えたのかってこと。

近田 それはさ、面白かったから。博士が北野さんに抱くような感情は一切ないよ。俺の感想は「この人、本当に面白れえな」「あ、また変なことしてる」だけ(笑)。言うなれば、一番近くでお座敷を見られたってことだよ。あの人、ロッカーというよりザ・芸能人だったから。

博士 さっき話した「アサヤン」のライブはルー大柴さんにも出てもらったんだけど、ミッちゃんが毎年武道館でライブやってることとか、なんにも知らないの。俺、驚いちゃった。たださ、そういう自分にしか興味ないところが、芸能人らしいと思ったんだよね。

清水 あの頃は特に、ザ・司会者だったね。相手の話を遮ってでもコマーシャルに切り替えるとか、自分イズムがないとできない。

博士 芸能人って、前だけ向いてる人じゃないと続けられないのかも。だからタモさんは「反省しない」って決めたんだろうし。

近田 博士が最近、ザ・芸能人だなあと感じた人って誰?

博士 それで言うと4年前、和田アキ子さんの50周年ツアーの初日を、マキタスポーツと観に行ったんです。思い出の映像が背景に流れるなか、観客はみんな1曲目から泣いてるのに、和田さんは全然泣かない。で、最後のアンコールで「どうもありがとう」って言いながらボロボロ泣いたんです。あのとき、あそこまで涙をとっておけるのはプロだ、と思いましたね。

近田 芸能人の技術だね。

博士 それで俺、夜中にライブの感想をTwitterでつぶやいてたんですよ。20分くらいしたときだったかなあ、突然携帯が鳴って。

清水 え、まさか……。(笑)

博士 「アッコやけど。見てくれたんやな。せやねん。私、あそこまで我慢してんねん」って泣いてるの。「いや、本当にすごいと……」って恐縮してたら、「いまな、歴代のマネージャーがここに並んどるんや」って、そこから「初代マネージャーの〇〇です」ってひとりひとり、なぜか俺に挨拶してくれて(笑)。何人目かに、「すいません、ホリプロ社長の堀義貴です」。

清水・近田 あははは。

博士 あの金色の衣装も6キロあるとかで、とにかくすごかった。ザ・芸能界を見た思い出ですね。