緊急事態宣言中に行われている大相撲夏場所。4日目からは感染防止対策を講じつつ観客を入れて興行を続けています。中日を終え、ここまでの取組を振り返りるのは『婦人公論』の愛読者で「人生の大切なことはすべて相撲から教わった」というしろぼしマーサ。初日揃って勝った大関の4人は場所の前半、どんな相撲を見せてくれているのでしょうか。

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第1回「照ノ富士復帰で覚醒した朝乃山、貴景勝、正代よ、期待を裏切るな」はこちら

鶴竜親方は「しみじみ説教型」

大相撲夏場所は中日を終えて、21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士が、どんな力士にも対応できる「マルチ破壊力」をみせて8連勝し、単独トップを走っている。

私は、膝を患い、駅の階段を上ることも降りることもできなくなった時期があり、それ以来、膝を患う力士には同情している。膝の悪さと病気で序二段まで落ちた照ノ富士のために、「仁王立ち作戦」を考えたことがある。照ノ富士は体が大きいのだから、土俵の上に仁王立ちして動かず、対戦相手が突っ込んでくるのを、右に左に腕の力でいなして勝つ方法である。それを数少ない友人の一人に言ったら「力士とちびっ子の相撲じゃあるまいし、照ノ富士は腰を痛める」と言われた。そうだろうか?

今場所は照ノ富士が優勝、という予想はまだ早い。貴景勝は7勝なので、追っかけ体制を崩してほしくない。

8日目のNHKテレビの正面解説者は、引退した鶴竜親方だった。鶴竜親方も優勝争いについては、「まだ何も始まっていない」と言っていた。

テレビ解説の親方には、この人にお説教をされたら、力士の心に響くだろうなあ、と思える人がいる。鶴竜親方もそのひとりで、しみじみ説教型だった。

鶴竜親方は、元気がなく、伸び悩んでいる御嶽海に激励のために稽古をつけ、「優勝よりも地位をつかんだほうがいい」と言ったことを話していた。自分が不調でも、下の者を育てるという横綱・鶴竜の優しさを感じた。

問題は、横綱を狙って欲しいのに、ファンがっかり相撲を見せている大関の朝乃山(4勝4敗)と正代(5勝3敗)である。二人とも、体のどこかが悪いのか、悩みがあるのかわからないが、力士の理想の体型をしているのにもったいない。押し相撲の力士が多いなか、朝乃山に、千代の富士や魁皇のような土俵の真ん中での投げ技を期待している私は、愚かな相撲ファンで終わるのだろうか。