認知症を招く原因の一つとなるのが、「脳のゴミ」といわれる不要なたんぱく質です。ゴミを溜めないためには、若々しい血管と脳の活性が鍵に。いつまでもクリアな頭でいる方法を専門医に聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)
アルツハイマー型認知症とアミロイドβ
「あの俳優さんの名前、なんだったかしら?」「『洗剤、洗剤』と唱えて買い物に出たのに買い忘れた」など、もの忘れが多くなると、「もしかして、認知症の兆候?」と心配になる人も多いでしょう。
「年を重ねるごとにもの忘れが多くなるのは、誰にでも起こる自然な現象。頭の中にあるデータが引き出しづらくなっているだけで、データそのものがなくなっているわけではありません。きっかけやヒントがあれば思い出せます。一方、認知症は脳の神経細胞の損壊によって起こる『病的』な記憶障害です。これは記憶そのものが欠落してしまい、進行すると日常生活に支障をきたしかねません」と説明するのは、カルナ・メドサロン院長の橋弥尚孝先生です。
「認知症のタイプにはいくつかありますが、とくに女性に多いのがアルツハイマー型認知症。これは脳で作られるアミロイドβという不要なたんぱく質が、主に記憶を司る海馬から溜まり、その塊が神経細胞にまとわりついて死滅させ、情報伝達を阻害することで引き起こされます」(橋弥先生。以下同)
アミロイドβは、誰の脳の中にでも存在する物質。毎日、しっかり分解されていれば問題ないのですが、加齢によって分解機能が衰えると溜まりやすくなるのだそう。