筋肉は、縮む時より伸びる時のほうがより多くのエネルギーを消費します。登録者数80万人を超える、YouTube「バレエストレッチチャンネル」を主宰する中川裕喜さんに、伸ばす動きを取り入れたストレッチを教えてもらいました。まずはウォームアップから……(構成=上田恵子 イラスト=吉泉ゆう子)

たるんだ筋肉を刺激することが重要

日頃、ダンスやバレエのトレーニングや、ケガの改善エクササイズなどを指導していますが、中高年の方から「若い頃より痩せにくくなった」という声をよく聞きます。原因の一つとして考えられるのは、姿勢のゆがみからくる筋肉のアンバランス。もともと筋肉は、一部分が縮こまると周辺や反対側がたるむ、という性質を持っています。筋肉がたるむとそこにぜい肉がつきやすくなりますし、縮んで硬くなった筋肉は痛みも引き起こすのです。

たとえば反り腰の人は、腰の筋肉が縮んでお腹側の筋肉がたるむため、腹部にぜい肉がつきます。猫背の人は体の前面の筋肉が縮んで背中側の筋肉がたるむため、肩が凝って、首の後ろや背中、二の腕にぜい肉がつくわけです。

また、縮こまった筋肉があると、たるんだ筋肉は刺激を得られません。運動しても縮こまった筋肉ばかりを使うことになるため、さらにバランスの悪い体になってしまいます。まずは縮こまった筋肉を伸ばして姿勢を改善し、そのうえでたるんだ筋肉を刺激することが重要なのです。

ここで紹介するのは、クラシックバレエの動きをベースにした「バレエストレッチ」。実は筋肉は、縮めるより伸ばす時のほうがエネルギーを消費します。スクワットなどの筋トレは筋肉を縮める運動ですが、バレエストレッチはその逆。縮んだ筋肉を伸ばしていくので効率よくエネルギーを消費でき、バレリーナのようなスッキリしたボディを目指すことができます。