かおりさんが自由を制限されてあらためて価値を見出したワードローブとは(『「どっちでもいい」をやめてみる』〈著:引田かおり/ポプラ社〉より。/撮影:濱津和貴)
吉祥寺にある「ギャラリーフェブ」、パン屋「ダンディゾン」のオーナーである引田かおりさん。夫であるターセンさんとのていねいで、心地よい暮らし方が雑誌などを通じて注目を集めています。そのかおりさん、このコロナ禍で普段使いのワードローブについても、いろいろと感じたことがあったそうで――

ワードローブは自然素材、そして「ときめき」を

「行かない」と「行けない」、「会わない」と「会えない」。

たったひと文字違うだけなのに、何と息苦しいことでしょう。お友だちをハグしないように言われた子どもたちは、成長して一体どんな大人になるのでしょう。思いつく限りの予防に努め、「大丈夫、大丈夫」と明るくふるまっていても、本当のところは「元に戻れるのだろうか」と、心が晴れることはありません。

そんなとき自分を支えてくれるのは、「暮らす」という日常の営みです。朝起きて、朝日を浴びる。玄関前を掃除する。朝ごはんを食べて、新聞を読む……。

 

ある日の朝ごはん(ギャラリーフェブ公式ウェブサイトより転載)

 

庭木にやってくる鳥たち。先日は夕方に玄関を開けたら、狸と目が合ってびっくり。あちらも驚いたことでしょうね。お日さまの角度や風の強弱で感じる、季節の移り変わり。都会に住んでいても、見渡せば自然がいっぱい。そして植物や生き物たちに励まされることに気がつきます。

食べることと同じように、着るものも自然素材が気持ちいい。自由を制限されてより、そう感じるようになりました。

 

動きやすいバルーンパンツ(ギャラリーフェブ公式ウェブサイトより転載)