黒ずくめ生活をどうしてやめたのかと言うと、だんだん生きてる感じがしなくなったから(笑)。黒っぽい服が好きな人はそれでよいのですが、長い袖丈や体形を隠すゆったりしたつくりの服だと、私はどうにもやる気が出なかった。これではいけないと、60代からは意識してカラフルな色の服を着るようにしたら、「まだイケる!」というパワーが蘇ってきました。

 

60代で革ジャン、70代で真っ赤なワンピースでも全然いい

日本人は、年齢を重ねるにつれて「枯れていく」のをよしとする風潮があります。「人生の半ばまでは上り坂。後半はいかに下っていくかを考えるべき」というようなことをおっしゃる方もいました。

でも私は、60代でロックテイストな革ジャンを着ても、70代で真っ赤なワンピースを着ても全然いいと思う。人生の最後まで上って、上り続けて、頂上でこと切れればいいじゃないですか。服も生き方も、後ろに引いた途端につまらなくなりますよ。むしろ《攻め》の姿勢で臨まなきゃ。

私が経験してきた年齢の範囲で、ファッションのアドバイスをするならば、「20代は素材を知る」「30代は色を知る」「40代は形を知る」「50代はバランスを取って崩す」「60代は目立つ」「70代はとんがる」を意識してほしい、と思います。

私も息子たちが小・中学生のときは、保護者会で浮かないよう、地味な色の服を着たものでした。でも60代ともなれば、さまざまな立場から自由になっているはず。派手な服を着たところで、誰に迷惑をかけるわけでもないでしょう。特にコロナ下では自宅で過ごす時間が多くなりがちですし、「家のなかだから」とくたびれた服を着るのではなく、花柄でもかわいい刺繍の入ったものでも、試したい服はどんどんチャレンジしてみてください。

それと、なんとなくいまの自分の服装に満足していない方は、「10年後の自分」をイメージすることをおすすめします。60歳なら70歳、70歳なら80歳の自分を思い描くのです。10年後の未来は若い人だけの特権ではありませんから。

そのときに理想とする《自分の姿》をイメージして服を選べば、この先の人生がもっと楽しくなるはず。私も、ますますハジケた服と人生を楽しみたいと思っています。