「家のなかだから」とくたびれた服を着るのではなく、試したい服はどんどんチャレンジして

ピンクが合わなくなっても大丈夫

「以前は似合っていた色が、歳をとって似合わなくなった」と落ち込まれる方には、「それは老化じゃないの、成長してると思って!」と伝えたいですね。ピンクが合わなくなっても大丈夫。きっと紫やグリーンが合うようになっていますよ。失ったスペースには、ちゃんと新しいなにかが入るものです。

「流行の形の服を買ったけど、家で着たら似合わなくて」という相談も多いですね。インパクトの強い形や色は、狭い面積から取り入れるのがひとつの方法ですが、気に入って買ってきたものは、とにかく3回着てみましょう。

1度目は、たいていヘンです。流行り、とはそういうものだから(笑)。2度目もやっぱりヘンなのだけど、なんとなく大丈夫な気がしてくる。そして3度目になると、「街にもこういう人がいっぱいいるし、なんとかイケるんじゃないの」という気持ちになってきます。流行りの服には、そういう不思議な効果があるのです。

好きな服を長く着るのも、年齢を重ねてこそできる楽しみ。若い人が流行遅れの服を着こなすのはちょっと難しいですが、ある程度の年齢になると、多少古い時代のものでも「正統派」と思われます。さほど心配なさらず、ご自由に楽しんでください。

服は「衣食住」の「衣」ですから、生活の延長線上にあると私は考えています。おいしいものは一瞬だけど、服はその日一日の気分を左右するほど、心と密接なものです。だから私は前の晩ではなく、朝に着るものを決めます。

実は50代のとき、黒とネイビーだけを着て2年間を過ごしたことがありました。服は着るだけ着てきたので、もう極めた、満喫した、という気分になっちゃった。それさえ着ていれば、なんとなくスタイリストっぽく見えるトップス2、3着とボトムス2着に絞って、仕事着としました。