若者たちの雇用をなんとかしたい
といっても数年前までの私にとって、カンボジアはさほど関心の高い国ではありませんでした。東南アジアの各国はどこも馴染み深かったのに、どういうわけかカンボジアだけは行ったことがなくて。
退職の半年ほど前、知人に誘われたので首都プノンペンを訪ねました。その知人が引き継ぐことになったというレストランを見に行くと、スタッフである若者たちが置かれている現状から目を背けられなくなったのです。
プノンペンなどの都市部は経済成長がめざましく、レストランの価格帯も日本とさほど変わりません。でもそこには激しい経済格差があって、たとえばスタッフたちは週休2日で1日12時間以上働いても、月給180ドル程度しかもらえなかったりする。
家庭環境も凄まじく、スタッフのスレイモンという26歳の女性は、6畳間に住む一家6人をひとりで養っていました。祖母も母も元気なのに働かず、子どもからお金を搾取しますが、カンボジアではよくある光景です。将来の夢どころではなく、その日生きることで精一杯。
つい、彼らの雇用を「なんとかしなければ」というお節介精神が発動してしまって(笑)。なにをするか考える前に、気づくとその知人に、夕方開店するまでのレストランの厨房を貸してほしい、と頼みこんでいました。