「こんな些細なことで病院に行っていいのだろうか?」と、悩むことはありませんか? 迷った末にようやく受診したときには深刻な状態になっていることも。健康に関して何でも相談できる「かかりつけ医」が身近にいれば、普段も、いざという時も安心です。地域医療に力を入れている家庭医に、将来まで頼りになる医師を探すポイントを聞きました(構成=内山靖子 イラスト=小川かなこ)

病気未満でも気軽に相談できる医者を

ひとり暮らしの高齢女性がかかりつけ医を持つことはとても大切です。なぜならば、60代、70代、80代と年齢を重ねるにつれ、たとえ大病を患っていなくても大半の方に、高血圧や高脂血症といった何らかの生活習慣病をケアする必要が生じてくるからです。

そうした不調が現れたときほど、「こんな些細なことで病院に行っていいのだろうか?」と、ひとりで悶々と悩みがちです。そして、ようやく受診したときには深刻な状態になっていることも少なくありません。そんなことにならぬよう、少しでも不安を感じたら、遠慮なく受診できる医者を見つけておくほうが安心です。私の患者さんたちも、「眠れない」「食欲がない」「疲れやすい」といった“病気未満”の理由で、みなさん気軽に来院しています。

私がファミリードクター(家庭医)として医療に携わって20年。おかげさまで一家4代を診ている家庭もあります。

かかりつけ医は、さまざまな診療科で処方された薬の飲み合わせや減薬の相談にも乗ることができます。また、いつも診ている患者さんが突然倒れて救急搬送されるような場合にも役立つ。その方の既往歴や服用している薬の種類を搬送先の病院の医師に伝えることができるからです。それがいち早く適切な処置を受けられることにつながります。

ひとり暮らしの高齢女性にとってかかりつけ医は、遠方で暮らす子どもや友人よりも、はるかに身近で頼りになる存在だと言えるでしょう。