\かかりつけ医として頼れるのは/

将来のため、在宅医療も見越して

このようなかかりつけ医がいれば、高齢になってもし認知症になってしまった場合でも、医者が初期の段階で気づいてくれます。そして、その方がまだ判断能力のあるうちに成年後見制度の利用を提案したり、地域包括支援センターのスタッフやケアマネジャーに連絡をとったりすることにもつながる。それこそがかかりつけ医の重要な役目。ひとりで暮らす方でも自宅で生活が続けられるよう、介護や福祉など地域のサポートサービスにつなげることが私たちの使命だと思っています。

また、訪問診療を行っているクリニックなら、通院から訪問診療に切り替えるのもスムーズ。顔なじみの医者が自宅に来てくれたら、何でも相談できて安心ですよね。私の患者さんの中に末期がんで自宅療養している方がいるのですが、「もう1回抗がん剤治療を受けるか、緩和ケアに切り替えるか決めて、と大学病院の先生に言われたけど、どうしたらいいかわからない」と悩んでおられた。

そのような場合、どちらの選択が患者さんにとってベストかを私も一緒に考えます。訪問診療を行っていないかかりつけ医の場合でも、お願いすれば、信頼できる近所の訪問診療医を紹介してくれるはずです。

希望される方には、自宅で最期を看取るケースも少なくありません。反対にもし、頼れるかかりつけ医を持たないひとり暮らしの方が倒れたら、そのまま救急搬送されて病院で最期を迎えることになるでしょう。

このように、人生の最後まで長く付き合えそうな医者を、元気な60代ぐらいで見つけておくことをおすすめします。動けなくなってから、深刻な病気になってからでは冷静な判断が難しいのです。健康なうちに、ぜひ自分に合ったかかりつけ医を見つけてください。