専門誌編集長が伝える「車中泊の楽しさと守るべきルール」とは?(写真提供:カーネル株式会社)
最近よくメディアで見聞きする「車中泊」。クルマで手軽にアウトドア気分が楽しめることから人気ですが、特に最近では、定年退職した60代以上の方々がユーザーに定着したとも言われます。しかし利用者のマナー違反が目立つことから、禁止を掲げるSAや道の駅が出てきているのも事実。そこで専門誌の編集長に聞きました。「そもそも車中泊って何が楽しいの?」

どのように広がったのか

そもそも車中泊って何? というと、書いて字のごとく、クルマの中で泊まること。「それが楽しいの?」とよく聞かれるのだけど、それが楽しいのだ。

私が編集長を務めている『カーネル』は、「クルマで寝る=カー寝る」という意味の誌名で、「車中泊を楽しむ雑誌」として、2021年6月現在で記念すべき50号までを発行している。この『カーネル』において「車中泊」とは、豪華なキャンピングカーから、ベッドなどを自分で設置したDIYカー、そして無改造の一般車まで、「クルマで寝ればすべて車中泊」と広く定義している。

そもそも「車中泊」が日本全体で広まったのは、1980年代後半から90年代前半のスキーブームが大きく関係している。当時、大混雑のスキー場で、朝の駐車場待ちとリフト待ちを少しでも回避する方法のひとつが、車中で前泊して朝イチから滑り始めることだった。そうしてアウトドア・アクティビティを早朝もしくは夜に楽しむために、前泊や後泊の「手段」として、車中泊は自然と広がっていったと想像できる。

現在でも、アウトドア・アクティビティとともに車中泊を楽しむ人々は多い。しかし時代とともに、さらに多種多様化してきているところも車中泊の面白さだ。

観光の手段として車中泊を活用した数週間から1ヵ月という長期間のクルマ旅を楽しむ人、焚き火やBBQといったキャンプ行為を加えたハイブリッド型を楽しむ人、少し特殊な例として〈ただ単純に〉「クルマで寝る(プラス出先で名産を食べるなど)」という非日常を感じるためだけに車中泊をする人も現在増加している。