長く生きていても知らないこと、経験していないことはいっぱいある。私は60代のときに、今までやってこなかったことを始めようと、習い事に目覚めました。書道、水彩画、俳句。

やってみると、「私、こんな細かい絵が描けるんだ」と思わぬ能力に気づいたり。俳句で言葉をひねり出すときは、普段使っていない脳が動いている感じがします。経験してみることで自分の可能性が広がるし、未知の世界を知ることができるんです。

よく「やりたいけど、自分にはできないと思う」と尻込みする人がいますが、できないから習う、学ぶんです。可能性の扉はとりあえず開けてみる。自分に合わなければやめればいいだけのことです。

私が今やってみたいのは、空手。戦うためではなく、型をピタッと決めるポーズがかっこいいから。あの型を覚えたいなぁ、と思っています。

 

シワも白髪も自前。演じることがラクに

役についても、基本的には来るもの拒まず。これまでの経験が、役作りにも生かされています。

今春放送されたドラマ『その女、ジルバ』では、元ホステスの一流作家というド派手な女性を、昨年公開された映画『感謝離ずっと一緒に』では、銀行員だった夫に62年間連れ添って亡くなる妻を演じました。この2つ、まったく異なるタイプでしょう。