2017年4月、病室で夫の山本雅道さんと(写真提供:益子さん)

どんなに頑張っても体力がつかなかった現役時代

早朝、なんとか仕事をこなして病院へ駆け込みました。検査の結果は心房細動。心房という心臓の上部が小刻みに震え、動悸やめまいを引き起こす不整脈の一つです。なんと先生は、「若いので手術しましょう」とおっしゃる。「ええ! 私、若くないです」と言ったら、この病気は70代の高齢者がなるんです、と(笑)。つまり心臓の老化現象のようなものなのだとか。

いつから発症していたのかはわかりません。ただ、ショックを受けた半面、そういうことだったのか、と納得する自分もいました。

実は現役時代、どんなに頑張っても体力がつかなかったのです。試合ではフルセットもたないので、途中メンバーチェンジをして休ませてもらっていました。私の心臓はあの時から悲鳴をあげていたのでしょう。

担当医からは、放置すると血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まると説明を受けました。そこで勧められたのは、脚のつけ根からカテーテルを心臓まで送り込み、患部の心筋を焼き切る「ホットバルーンカテーテルアブレーション」という治療。膨らませた風船が当たった部分を一気に焼くことができるので、時間もかからず負担は最小限。私はこの手術を受け、数ヵ月に1度の検診で経過を見ることになりました。

心房細動は再発しやすい病気なので、発症リスクを生活から取り除く必要があります。遺伝など先天的な要因は仕方がないとして、ストレス、飲酒、睡眠不足を避けるように、と先生に言われました。

ストレスが心臓に悪い――これは、自転車を始めて心拍計をつけるようになった私が日々実感していることでした。緊張したり精神的な負担を感じると、心拍数がぐんと上がるんです。これでは私の心臓が悪くなるのも無理はないな、と思いました。

なぜなら、私にとっての最大のストレスは、若いころから打ち込んできたバレーボールそのものだったから。病は、これまでの自分の生き方を振り返るきっかけになったように思います。