バレエの発表会で「アリ」の役を演じる越乃さん(写真提供:越乃さん)

「人前で声を出して演技をするなんて!」

1幕が始まりました。
バレエの先生いわく「この世界に入れたら 毎日踊っていられる」。
そう聞いて、「そんな素敵な世界があるのなら」と観に来たのに、
始まったのは、なんと「芝居」。

え!? 聞いてないんですけど芝居なんて…。

私の頭の中は
(ここに入ったら芝居するの!?え!?なんで? 
踊っていられるって言ったのに!話が違う!絶対にヤダ!!)
芝居の内容なんて、まったく覚えておりません。

芝居が終わると、そのままショーが始まりました。
(あれ!? 楽しい! 何この世界! さっきと違う! やっぱり踊るっていいなぁ)
帰る頃にはパレードの音楽が頭から離れず、すっかり楽しんでおりました。

が、
お芝居をしなければならないことが、どうしてもどうしても嫌でした。
人前で声を出して演技をするなんて、恥ずかしいったらありゃしない。
当時の私は(今もですが) 恥ずかしがり屋でした。
恥ずかしくて絶対にやりたくない!

「宝塚はイヤです」
先生にお断りを申し出ました。