イラスト:角愼作

新5000円札の絵柄にもなる縁起のいい花

フジは、鬼が苦手な毒のある植物として漫画『鬼滅の刃』にも登場しました。フジはマメ科の植物で、春から初夏に藤色のたくさんの花を咲かせます。

ちなみに、藤色は淡い上品な薄い紫色で、植物の名前がそのまま色名になっているんですよ。

優雅な姿とその色は、昔から日本で愛されてきて、浄土真宗本願寺派の宗紋にもなっています。また、フジは不死に音が通じるところから、縁起のよい花で、魔除けの力があるとも考えられてきました。

毒があるのは本当で、その成分は「レクチン」。加熱せずに食べると、吐き気や頭痛、めまいなどの中毒症状が出ることがあります。

さて、このフジ。太陽の直射日光が大好きで、逆に光が弱いと枯れてしまいます。光をいっぱい浴び、そのエネルギーを蓄えて、次の命へとつないでいるのです。

*フジは2024年度に発行される、新5000円札の裏面の図柄に採用されました。表面の人物は女子教育に貢献した津田梅子さんです。

フジ

【学名】Wisteria floribunda
【原産地】日本、中国
【特徴】春から初夏にかけて、藤色の花を咲かせる。太陽の光を好む。レクチンという毒の成分をもつ。
※本稿は、『すごい植物最強図鑑』(田中修監修ほか)の一部を再編集したものです。