巡業の移動でしゃべり続けた長三郎

勘九郎 勘太郎と長三郎にとっては初めての巡業。こういう状況じゃなかったら、父(十八代目中村勘三郎)と行った思い出の場所に連れていきたかったけど、街を出歩くこともできない。でも彼らは、毎日のように芝居ができることが楽しかったみたいで。ただ、移動は大変だったね……。芝居が終わると夜のうちに次の土地へ向かうわけですが、疲れているから寝たいのに、長三郎がずーっとしゃべり続ける(笑)。3秒止まったら死んでしまうというくらい。

七之助 僕は死ぬほど楽しかったけど、兄と愛さん(勘九郎の妻、前田愛)は毎日のことなんだろうから、これは大変だなと(笑)。でも勘太郎も長三郎も、忙しかったのにずっと元気でよかった。僕たち兄弟が子どもの頃は、トークコーナーなどで質問されても全然話せなくて怒られた。2人は聞かれたことにちゃんと答えるからすごい。「踊って」と無茶振りされても踊るし。2人が参加すると99%は彼らに対する質問で、僕らはいらないなと思いましたね。(笑)

勘九郎 2人に小さい子から質問があったね。

七之助 小さいお子さんから「同世代のファンがいることについてどう思います?」って。恥ずかしくて答えにくいかなと思ったら、長三郎が間髪入れず、「ありがたいと思います」。そういう返しができるのか、と(笑)。あれはかわいすぎました。

勘九郎 そういえばトークコーナーでは、3、4年前まで「七之助さん、いつ結婚するんですか」という質問が多かったけど、ここ2年くらいですっかりなくなったね。

七之助 最近はゼロですね! お客様もあきらめたのかな。結婚願望はなくなっているんですよ。芝居が好きで、演じることや芝居を見ることに理解のある、同じものを楽しめる人だったらいいのかな、とは思いますけど。

「長三郎が間髪入れず、「ありがたいと思います」。そういう返しができるのか、と(笑)。あれはかわいすぎました」(七之助さん)