これからの不妊治療に必要なこと

 不妊治療と妊娠・出産を経て、夫婦の絆は確実に強まったと思う。緊急事態宣言が出て、あなたが病院に入れない時期も、近くの駐車場に車を停めて待っていてくれたし、私が一人で先生に聞いてきた話はすぐに説明して二人で共有していた。同じ目線で治療を続けられたので、精神的に追い詰められることもなかった気がする。

 僕は会社を辞めてフリーの立場だから、ある程度時間の融通がきいたし、病院に一緒に行くことができた。でも実際には、夫が同伴できないケースは多いはず。不妊治療は女性の体のリズムに合わせる必要があるからね。「不妊治療中で、明日病院に行くから休みます」とは、なかなか言えないでしょう。待合室で夫に電話している女性を見かけたけれど、仕事中に電話をもらっても、夫はじっくり聞けないかもしれないし……。

 電話に出ない夫に対して怒っている人もいたね。女性だけが必死に取り組んでいるようで、夫婦のすれ違いが起きかねないとも感じた。

 不妊治療はお金がかかるということも実感したね。

 私も働いていて収入があったので治療を続けやすい状況だったけれど、落ち着いてから不妊治療にどれくらいかかったか計算したら、車1台買えるくらいだったのでびっくり!

 今年に入って不妊治療助成金の拡充が図られて所得制限もなくなり、22年4月以降は保険適用開始が予定されているけれど、うちはどちらも適用前の妊娠だったから。女性の働き方も変わり、妊娠・出産の年齢が高くなる傾向にあるので、少子化対策としても不妊治療の助成等の政策は絶対に必要だよ。

 そうよね。助成金が出るとなればかなり助かると思う。

 ここ数年で男性の意識もだいぶ変わってきたけれど、まだまだ育休を取りにくい企業もあるようだし。自分が妻と一緒に子育てするなかで、改革が進むと良いなと感じている。

 今も家事や子育てに積極的に参加してくれているけれど、私が復職したら、もっと頑張ってもらうことになるね。

 もちろん、そのつもりだよ。歳をとってから父親になったぶん、この先、十分な時間があるとはいえない。だからこそ、今まで自分が経験してきたさまざまなことを娘に伝えたいと思っている。たくましく、のびのびと生きていけるよう、二人で育てていこう!