二度の流産で心が折れかけて
夫 治療を進めた結果、病院から妊娠しましたという知らせがあって。
妻 そうなのだけれど、同時に先生は「妊娠はしていますが、神のみぞ知るです」ともおっしゃったから、どういうことだろうと戸惑ったのよね。
夫 そして、着床後の血液検査では、上がっていくべき数値が上がっていないことがわかった。
妻 「7週の壁」というものがあることを知ったね。妊娠7週で数値が達していなかったため、「不育」の診断が下って……。
夫 諦めるしかなかった。
妻 流産手術は麻酔で意識も痛みもなかったけれど、それまで受けたどの検査よりも精神的につらかった。
夫 そうだったね。先生は、不育になった原因を調べながら次に進みましょうとおっしゃって、検査項目も増えていった。
妻 たくさん検査をしたなかで、免疫学上の検査項目に引っかかって。注射を打つ治療を受けたよね。
夫 妊娠したとしても、それが順調に育つかどうかは、「卵の力」がすべてと先生がおっしゃったのが印象に残っているな。
妻 2回目に妊娠反応が見られた時は、赤ちゃんの心臓になる組織がないという、つらい事実を突きつけられて……。診断書に書かれた「emp-ty(空)」という文字を今でも覚えてる。この時は、不妊治療はしばらく休みたいとまで思ってしまった。でも、生理が来るたびにまたチョコレート嚢胞が大きくなるから、治療は早く進めたほうがいいと先生がおっしゃって。
夫 もし僕が同じ立場だったら、心が折れていたかもしれないな。
妻 いつも二人で情報や気持ちを共有していたことで、前に進んでいるんだと信じられたような気がする。3回目は受精卵が着床しなかったけど、この頃には、妊娠はそんなに簡単にできるものではないし、不妊治療というのは時間がかかるんだと覚悟をしていたな。
夫 僕にできることといえば、受診の後、一緒においしいものを食べに行くくらいだったけど。
妻 あれは嬉しかった! 仕事を続けながらの治療だったから、休みの日はすべて通院だったけど、お昼にお寿司、おやつにラーメンなんてこともあったね。(笑)