3食の中で朝食がもっともボリュームがあります。それは朝服用する薬がもっとも多いからなのです。基本的に昼も夜も、薬を飲むために胃に何か入れる必要があるのですが、そのための食事ではあまりに味気ないでしょう?

コロナ前は、友人とランチをしたり、夜も誰かを誘って外食をすることが珍しくありませんでした。会話が弾むと楽しいし、同席している人につられて食も進みますから。

内臓の数値が安定し、何でも食べられるようになったのは70代になってから。それまでは薬との相性が悪いといった理由から卵料理はダメ。鉄分も摂取厳禁だったので、ホウレンソウや赤身の肉、魚など、食べられないものがたくさんありました。今は本当に幸せ。笑いながら食事をする日が来るなんて、再びステージで歌っているなんて奇跡だとしか思えません。

 

末端まで血液が届かなくなる「レイノー現象」だった

――安奈さんが、激しいむくみと呼吸困難により緊急入院したのは53歳の時。検査の結果、自己免疫疾患である膠原病の一つ、「全身性エリテマトーデス(SLE)」を発症していることが判明した。関節、筋肉、腎臓、心臓、肺など全身の機能が障害を受ける難病だ

31歳で宝塚を退団した後は、ミュージカルの舞台やコンサート活動で相変わらず忙しい毎日を送っていました。でも今にして思えば、倒れる数年前から体の不具合を感じていたのです。手足の先が冷たくなって、しかも猛烈に痛くなる日があったりして。

末端まで血液が届かなくなる「レイノー現象」だったのですが、そうとは知らず……。年齢由来の一過性のものだろうと自己判断をして、漢方と整体で改善することができると妄信していたという体たらく。