「今回はふたりで」

しばらくして、その割り勘男から電話があった。夕方6時頃である。

「あー、マミちゃん、元気してる? 俺だよ。今ひとりで晩酌していてさみしくてね、つい電話してしまったんだ」

「そう。あなた、マラソンがんばってるって聞いてるけど、続けてるの?」

「今日もさっきまで軽く走ってきたところさ」

「同級生のAちゃんには最近会ってる?」

「いやー。それがまったく電話に出ないんだよ。旦那が亡くなったそうだから、カラオケでも誘ってみようと思うんだけど、もう何ヵ月も連絡がとれないんだよ。そっちに電話があったらぜひ俺のところに連絡くれるように言って」

電話を切って、思った。その女友達は、夫が出稼ぎに出ていた頃、弁当屋さんで働き始め、そこでハンサムな年下の彼氏と出会ったという噂だ。今は恋愛で忙しいに違いない。

年の瀬も押し迫った頃、割り勘男からまた電話があった。

「会って話でもしようよ。彼女とはあいかわらず連絡とれないし。今回はふたりで」と言う。

私も「いいよ、久々だし」と二つ返事。

安くて大衆的な居酒屋で待ち合わせた。そこは、早い時間はジョッキのビールを100円でサービスしてくれる。