青春のまっ只中にいるよう
会うのは4、5年ぶりだったが、なんと愛妻が亡くなったのだという。娘たちは嫁いで家を出て、今はひとり暮らし。それでさみしいという電話があったわけだ。
「実は俺、再婚しようと思って、婚活パーティーに何度も出かけたんだよ」
「へーっ」
これも初耳である。
「相手は見つかったの?」
「それが見つかったんだな。何度か行ってるうちに顔見知りになって、おつきあいして、再婚するんだ」
「うわー。おめでとう。よかったじゃない」
「ただね、彼女、親の介護があって、当分は延期状態。2ヵ月に一度しか会えないんだ」
家はある、退職金はあるで、魅力的だったのだろうが、あまりにお金を出し惜しみするので、親の介護にかこつけて女性は様子を見ているのではないだろうかと、私は勘ぐってしまう。
割り勘男は100円ビールを8杯も飲んでご満悦。「ねー、またいつか会おうよー。いいだろ」と言ってくる。
「あら、フィアンセがいるのに、そんなことしたらいけないんじゃないの?」
「いや、さみしいんだよ。話し相手がほしいんだ。お願いだから、ねっ」
同級生の気安さだ。うっかりしていると話はあらぬ方向へと動き出しそうである。
「彼女とは時々電話で話すけど、会えないからなあ。毎日テレビ見ながら晩酌さ。だから君に電話してもいいだろ?」
なんだか、いまだ青春の真っ只中にいるよう。
彼は私の好みのタイプではないし、同級生として2、3人でたまに集まれたらいいなと思う程度なのである。彼の女友達やフィアンセの代用にされてはたまらない。