「ハロー」と言って国語の先生が現れた

しかし、今回の面談では、そのような不都合はいっさい生じなかった。オンラインなので、移動する必要がないからだ。さらに、5分たったら画面が強制的に切り替わるので面談が遅延することもない。だから、いつもより多めの先生たちと会うことにして、自動で予約を入れてもらった。

当日、1人目の先生との予約時間にパソコンの前に座ると、

「ハロー」

と言って国語の先生が現れた。

お。と思った。背景が先生の自宅だったからだ。てっきり学校からやるのかと思っていたが、考えてみれば、大勢の先生たちが一斉に学校で面談を始めたら、ネット接続も切れ切れになるだろう。

しかし、びっくりしたのは、ふだんの服装やヘアスタイルなどは非常にコンサバな印象の国語の先生が、コンクリート打ちっぱなしみたいな壁に英国ロックの名盤アルバムのポスターを貼り、革のソファーにヒョウ柄のクッションを置いたりして、やけにファンキーな部屋に座っていたことだ。

国語の先生だけではない。学校が使っているシステムは、Zoomのように背景選択ができないらしく、マッチョで厳しいことで知られている男性教員の背景にパステルピンクのひらひらのカーテンが揺れていたり、白髪の初老の女性教員の部屋がオレンジの水玉の壁紙で、カラフルな50年代風のアンティーク家具が置かれてやけにキュートだったり、知られざる先生たちの一面を見た気になった。