谷崎潤一郎(1886ー1965)

――近藤さんはネームにどれくらい時間をかけましたか?

近藤 それはよく覚えていないんですが、ネーム自体はたぶん1日くらいで……。

山口 ええ⁉ ……プロというのはこういうものなんですね……。

近藤 でも、山口さんは作画が2〜3日で終わるんですよね。私は作画にすごく時間がかかってしまうので。

山口 2〜3日で終わらせるしかなかったというのが実情ですが……。でも近藤さんの線はぜんぜん揺れてないですもんね。……あ、いま褒められ弱い顔をしましたね。いやあ、すうっと一息で引かれて、ぶれない。整いながらも死んでない線というのは、本当に気持ちがいい! いや、冗談抜きで。

『谷崎マンガ』より(画:近藤聡乃)

近藤 ありがとうございます(笑)。ただ、マンガ家さんによってネームと呼んでいるものが違って、山口さんがネームとおっしゃっているのは文章を書き、コマ割までしたものですよね。たぶん、それが正しいんですけど、私がいつも編集者に「ネームです」とお渡しするのは文章の部分だけ。だから「1日」といったのはあらすじ、プロットの部分です。