「今なら、大丈夫です」

「先生、わたしね」
「なんですか」

「生活費とか、買い物とか、支出を。見直そうと思っているんです」
「急に、どうしてですか?」

「心配になって」
「青木さん」

「はい」
「20年お付き合いしていますが、青木さんからそんな言葉を聞いたのは初めでです」

「はあ、そうですね、遅い! 本当にダメダメで」
「いや、いくつになってからでも構わないです。気づきですよ、偉いと思いますよ!」

クティを抱きしめる青木さん

「先生が褒めてくれた、初めて!」
「偉いです」

「ありがとうございます!」
「青木さん、気づきましたね。気づいたら、次は何をするか」

「何ですか?」
「思い切って、節約をする覚悟ができるか、です」

「なるほど」
「削れそうな支出は、アドバイスできます。あとは、青木さんが、できるかどうか、です」

「やらなかったら、どうなりますか?」
「すべてなくなって気づく」

「避けたいです」
「今なら、大丈夫です。遅いくらいですが」