赤ん坊の姓名判断に娘の湿疹……見ぬふりはできない

結婚した娘夫婦は、わが家から歩いて8分の近所で暮らし始めた。嬉しい半面、娘と関わりすぎた自覚もあったので戸惑いも感じる。

その年の夏、リーマン・ショックの影響を受け、私は早期退職した。数ヵ月後、娘の妊娠がわかった頃、人間ドックで娘婿に病気が発見される。今こそ力になる時だと思った。

彼の母親はすでに亡くなっている。私を母として慕ってくれるものと思い込んでいた。彼の2度の手術は無事成功し、退院後の3週間は、昼食を私が作って届けていた。ある時、彼の父親が「お母さんの手作りの昼ご飯は美味しいでしょ?」と問うと、彼は「別に。病院のご飯も美味しかったよ」と一言。それを聞き、この先彼とどう接すればよいのか、不安を覚えた。

そして娘は、彼の希望でその年末に仕事を辞めた。出産後は復職すると思っていたが、キャリアウーマンの夢は諦めたのだろうか?

娘は妊娠すると顔に湿疹ができ始め、お腹が大きくなるにつれ、首、胸、背中、お腹と広がっていき、かゆみも伴うようになった。前髪も心なしか薄くなっている。大学病院で診てもらっても原因ははっきりせず、娘は以前の輝きを失っていた。

無事第一子が生まれ、病院にいる娘から名前を聞くと、占い好きの私はすぐにネットで姓名判断をしてみた。するとどのサイトでも、その名は病気、不運を招くと書いてある。私はたまらず婿を訪ね、「姓名判断がすべてではないが、字画は変えたほうがいいのではないか」と懇願した。

翌日、彼は父親に相談したらしい。反対する肉親がいるなら変えたほうがいいのではと言われ、渋々名前を変えた、と娘からメールが来た。そこには彼が決める名前なら何でもよかったのに、とも付け加えてある。私は出しゃばってしまったのだろうか。

退院後、娘と赤ん坊はひと月わが家で過ごしたが、本心は来たくなかったのかもしれない。

おっぱいをあげる時に見える、娘がかきむしった痕の残る肌が痛々しい。湿疹はひざ下まで広がっている。手の節々は腫れ上がっていた。病院を変えてみてはどうか? 部屋の絨毯が原因かもしれないから引っ越してはどうか? などと提案したが、「夫が賛成しないわ」と、話は進まない。私は娘の容体が心配で夜も眠れないのに、彼はいったいどう思っているのか。