「いのっちの電話」で大事にしていることとは

当時から今に至るまで、恭平さんは「いのっちの電話」の活動を続けながら、毎日膨大な文章を書き、畑で野菜を育て、パステル画を描き、ほかにも編み物をしたり水墨画や版画を手がけたり作曲したりと、おそろしく生産的な日々を過ごしています。

「いのっちの電話」を続ける坂口さんに対し、心配していたという斎藤さんですが(写真:木村直軌)

不思議なのは、そのすべてが自然体で、無駄な力みや自己演出をまったく感じさせないことでした。なぜこんなことが可能になっているのか。これはもう、ご本人に聞いてみるしかない。

そんなことを考えていたおり、2020年10月に雑誌『婦人公論』誌上で恭平さんと対談する機会に恵まれました。思えばこの対談をきっかけに、この往復書簡がはじまったのでした。

そこで第一の質問です。恭平さんが「いのっちの電話」を受けるときに、大切にしている姿勢はどのようなものでしょうか?

いつの間にか相談員の方が増えているようですが、後継者を育てる際に、どんな姿勢を大切にするように教えていますか?

もちろん相談の姿は見てもらっていると思いますが、「技は教えない、俺の姿を見て盗め」とか、昭和の職人みたいなことは言ってませんよね? ご回答を楽しみにお待ちしています。