不幸や災難にあい「慰め」を求めている人を前にした時は

NG:「私はもっと大変でした」と自分の不幸を語る
OK:「まったく大変でしたね」と相手本位に話を進める

「不幸の自慢比べ」とでも言いたくなるような話し方をする人がいます。

たとえば、「離婚した」と言う人に、「あなたは初めての離婚なんでしょう? だったら、まだいい。私なんてもうバツ二になんだよ」と言ったりするのです。あるいは、「財布を落とした」と言う人に、「私なんか旅先で財布を落としたことがあるんだよ。現金は失うし、カード会社に連絡するのも時間がかかって大変だった」といった言い方をします。

慰めるときに不幸自慢をする人の真意とは(写真提供:写真AC)

一見慰めともとれますが、このように、「私のほうが苦労した」「私のほうが、もっとつらい思いをした」という話をしたがる「不幸自慢の人」は、心理的に「自己承認欲求が強い傾向がある」といわれています。

ネガティブな意味で、「自分の存在を認めてもらいたい」という思いが強いのです。言いかえれば、相手を慰める前に、「私を慰めてほしい」と思ってしまうのでしょう。また、相手に共感するよりも、「相手から自分の気持ちに共感することを言ってもらいたい」という願いが強いのです。

そういう意味では、依存的な傾向があると言えるかもしれません。しかし、このような依存的な不幸自慢では、相手との人間関係は深まっていかないでしょう。

相手との深い意味での心の交流を得たいのであれば、自分のことはさて置いて、「まったく大変でしたねえ」「とんだ災難でしたね」と、まずは自分のほうから相手の気持ちに寄り添って、共感する姿勢を示すのが賢明です。