樋口恵子さん(右)と酒井順子さん(左)(撮影:本社写真部)
今年89歳になった樋口恵子さんは、80代最後の日々を忙しく過ごしているそう。同じく筆を武器に活躍してきた酒井順子さんが、人生の先輩と語り合います。この先に起きることとは?(構成=篠藤ゆり 撮影=本社写真部)

超高齢社会の初代を生きる

樋口 酒井さん、おいくつになられたの?

酒井 55歳です。

樋口 55歳なんて、まだまだお若い。歳を感じますか?

酒井 もう、お若くもなく(笑)。私は35歳、45歳とか、5のつく数字になると、急に年齢の重みを感じるんです。35歳の時も、もうすぐ40代だと思い『負け犬の遠吠え』を書きました。今、四捨五入したら60。ついに初老かと少しうつうつしていた時に樋口さんの『老いの福袋』を拝読し、ズンと心に響きました。60代は「さァ、これからという世代だ」とあったので、「そうか、新たなスタートなんだ」と元気になってきました。

樋口 そんなふうに読んでいただけて、嬉しいです。日本は史上初、そして世界初の超高齢社会になったわけ。本格的な老いというものについて、私たちの世代は《初代》だとつくづく感じます。

酒井 老後資金や健康の問題、介護など、不安の種は尽きません。寿命が延びたことで、不安を感じる時間も延びた気がします。私も90過ぎまで生きるとすると、あと40年も不安を感じていなければいけないのかと思うと怖い!

樋口 あっという間に年月が経ちますから、ご安心ください。(笑)