小学校の学区ごとに高齢者が集える場所を作れないか

樋口 とくにコロナで、デジタルの重要性を痛感しました。私はNPO「高齢社会をよくする女性の会」の理事長を務めていますが、会員の方の作文にこんな内容のものがありました。20人くらいのグループで、みんなで教え合い、全員同時にオンライン交流ができるようになった。グリーフケアの活動を開始したところ、配偶者を失った人やペットロスで落ち込んでいた人たちが、徐々に悲しみから抜け出せた、と。

酒井 体力がない人や外向的でない人ほど、デジタルの力が助けになりますね。

樋口 私もオンライン会議の便利さを実感しています。ただ、対面であれば会議後に立ち話で「ねぇ、こう思いませんか?」と言い合える。そういう時間も大切です。

酒井 やはり生のコミュニケーションは、必要ですね。

樋口 今、私が考えているのは、小学校の学区ごとに高齢者が集える場所を作れないか、ということ。最近は児童数が減っているので、教室を1つ借りてもいいし、敷地の片隅に平屋でプレハブ小屋を建ててもいい。そこで昼ご飯が食べられ、年寄り向けのデジタル技術教室なども開かれたらいいなぁ、と。たとえば後期高齢者医療制度が変わりましたとか、年寄り市民として必要な情報をもらう場は必要です。

酒井 行政の制度はわかりにくいし、知らないとサービスを受けられないこともありそう。情報を得られる場があると助かります。それに、私みたいにコミュニケーション能力があまりない人や、友人が少ない人も、同じ場所で学べば、小学生のように友人もできそうです。共通の知識があれば、会話も増える気がしますし。

樋口 だから、高齢期は「第2の義務教育」の時期と主張したい!