樋口恵子さん(右)と酒井順子さん(左)
今年89歳になった樋口恵子さんは、80代最後の日々を忙しく過ごしているそう。同じく筆を武器に活躍してきた酒井順子さんが、人生の先輩と語り合います。この先に起きることとは?(構成=篠藤ゆり 撮影=本社写真部)

<前編よりつづく

年寄りこそデジタルを活用して

酒井 「介護は情報戦」という言葉にも、ドキッとしました。両親はすでに亡くなっているので、今後、介護をすることはないかもしれません。ただ、自分自身のために、老後も情報を集める力や、コミュニケーション能力なども必要となりそうです。でも私は結構内向的で、コミュニケーション能力があまりありません。そういうちょっと地味な性格の高齢者は、どうしたらいいんでしょう。(笑)

樋口 パソコンができる人に多くの情報が集まる時代だと思います。

酒井 パソコンは仕事で使っているので、なんとかなりそうです。

樋口 私は女子校を出ていますが、同学年120名のうち、半数以上が生きているんじゃないかしら。

酒井 わぁ、皆さん長生き!

樋口 同窓会のサークルが発行する機関誌の、最近の巻頭言のテーマが「デジタル問題」でした。

酒井 すごい!

樋口 長いこと電話をかけあって近況報告やおしゃべりを楽しんできたけれど、耳が遠くなると電話で話しづらくなる。そこへいくと、パソコンだったら、字が読める限り友だちと通信できますから。デジタルを学んだほうが、絶対、老後は楽しくなるはずです。

酒井 高齢者にとって「学ぶ」ことが大事だと書いておられたのは、そういう意味もあるんですね。