「家族が同業というのは難しいとも聞くけど、うちは、仲は悪くないですよ。むしろ、かなりいいほうなんじゃないかな」

みんな同じ職業になっちゃった

うちの息子(俳優の柄本佑さん、柄本時生さん)は二人とも、僕と同じ「青春の誤解」の道に入ってしまいました。まぁ、これもしょうがないですねぇ。

最近、長男の佑が『婦人公論』に出たそうで――僕にどっか似ていますか?

「自分が出た作品は観たくない」と言っていたんですか。それは、ごく普通だと思いますよ。僕も、観ないものなぁ。とくに、できあがったばかりの作品を観るというのは、どうもねぇ……。

映画に関しては、何年、あるいは何十年か経って、たとえば早稲田界隈を歩いていて早稲田松竹の看板見て、「あっ。これ、オレ出てるな」とか。そんな感じでふらっと入って観たりするのが理想かな。

昔ながらの名画座はどんどん減ってきたけれど、そういうところで映画を観るのが好きですね。僕は、趣味と呼べるものはな~んにもないから。強いていえば、映画を観ること。昨日も3本、観ました。

結局、うちの家族は、みんな同じ職業になっちゃった。家族が同業というのは難しいとも聞くけど、うちは、仲は悪くないですよ。むしろ、かなりいいほうなんじゃないかな。

奥さん(女優の角替和枝さん)は、残念ながら2018年に亡くなってしまってね。命日が10月だったので、もう3年経ちました。不在には慣れませんねぇ。時間が薬になるとよく聞くけど、どうも、そんなことはないみたいです。いまだに慣れないというか、たぶん、一生、慣れないんじゃないかな。まぁ、僕も、もうじき死んじゃうからね。(笑)