圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第10回は「忘れられない景色」のお話です
あの瞬間、私は舞台の魔法にかかった
ずっと忘れられない景色があります。
初舞台の幕が開いた瞬間に見た景色
眩しいスポットライト
バレエの発表会で立っていた舞台より遥かに大きく
照明も音も全てが違う
宝塚という世界に立ったあの瞬間
あの瞬間 私は舞台の魔法にかかりました。
初舞台公演は口上から始まります。
「これから舞台人として出発いたします。
何卒宜しくお願い申し上げます」
という意味を込めて 口上を述べていきます。
音楽学校とは全く違う劇団員としての緊張感の中、全ての事が初めてで
初日の幕が開くまで連日ひたすら稽古を重ねていきます。
泣いたり笑ったり、感情が忙しく激しく過ぎて行った初舞台の思い出は
私の大切な宝物です。
そんな日々を過ごしたのちにやってきた初日、
幕が開いた瞬間の景色。
眩しいスポットライトに
「あぁ 気持ちいいなぁ」と感じた事を今でもはっきり覚えています。