音楽学校とは全く違う劇団員としての緊張があった

初舞台のあとは「組まわり」

初舞台公演が終わると、組配属はせずに各組での公演に研修のような形で出演する
「組まわり」というものがありました。今でもあるのでしょうか?

いろんな組で勉強をしなさいという事なのでしょう。
私は花組と星組に出演しました。

月組で初舞台なので、ベースは月組になります。
団体生活をする上で、ある程度の決まり事は必要になってきますが
組の決まりはそれぞれでして
組を回っていろいろ学んできなさいという意味を知ったり、
先輩方の努力されている姿や、稽古の進め方などを近くで見て学ぶという
なんとも贅沢な時間を過したわけです。

上級生をひたすら見て、まずは真似から入ります。
花組に出演したときには、真矢ミキさんのハスキーボイスに憧れてわざと低く
かすれたような声を出していたら
どうしたの?どこか悪いの?と言われたこともありました。

素敵だなと憧れる上級生の方から声をかけてもらえた日には
テンションスーパーアップで、ラインダンスの足なんて
耳の横まで余裕で上がるのではないかと思うほど嬉しかった事を覚えています。

そんな組まわりの時も経て
月組に配属が決まり
「月組 越乃リュウ」として私の宝塚人生は走り出しました。

しかし
昔からの恥ずかしがり屋の性格は、なかなか変われません。

そうです。
お芝居をやる事が……というより人前で声を出す事が恥ずかしいのです。

台詞なんて言わなくていい。
マイクなんていらない。
ただ踊っていられたらいい。
あんな役がやりたい、注目されたいなどとは全く思いませんでした。
毎日踊っていられることが、ただただ幸せでした。