35年を経ての和解(写真提供:亜紀さん)

35年間言えなかったパパの本心

亜紀 でも、私はそこにママもいてほしかった。だからママがパパに会いたいと言ってくれたのはうれしかったけど……素直に「じゃあ、会おう」って言うパパじゃないでしょ? 

だからベッドで寝ているパパの周りにみんなで集まって、まずはネネが「ママが、パパに会いたいって言ってるんだけど、どうしよう」って言ってみた。パパが目をつぶったまま黙ってるから、私が「パパ! 人を恨んだまま天国に行っても神様には会えないんだよ!」って大きな声で言った。そしたらパパがすうっと涙を流してゆっくりうなずいたのよ。

友子 娘の言葉が響いたのね。

亜紀 自分の命があまり長くないことも、わかっていたのかも。パパがうなずいた瞬間、「よし、今だ!」って、すぐにネネがママに電話した。

友子 私は出先からすぐに亜紀の家に直行。ベッドの脇へ駆け寄って耳元で「パパ、友子よ、わかる?」って言うと、パパがいきなり「友子、愛してるよ」って……。

亜紀 まさかそんなこと言うなんて思わないから、みんな号泣! でも、それが35年間言えなかったパパの本心だったんだと思う。