中島京子さん(左)と小林美穂子さん(右)
生活保護受給者や路上生活者。在留資格を失って入国管理の施設に収容された外国人。コロナ禍でますます困窮する人たちの身に今、何が起きているのか。小説『やさしい猫』で入管行政の問題に焦点を当てた中島京子さんと、生活困窮者支援を長年続けてきた小林美穂子さんが語り合った(構成=古川美穂 撮影=本社写真部)

外国人の人権と入管の闇

小林 中島さんの『やさしい猫』が本になるのを新聞連載のときから楽しみにしていたんです。

中島 まあ、そうなんですか。

小林 シングルマザーの保育士ミユキさんと娘のマヤちゃん、ミユキさんの8歳年下のスリランカ人で自動車整備士のクマさん。震災ボランティアを機に惹かれあい、さまざまなことを乗り越えて築いた家族の小さな幸せが、「外国人」というだけでクマさんの在留資格の問題のために突然壊されてしまう。入国管理と人権というアクチュアルな問題を背景に、主人公一家がどうなってしまうのかハラハラしながら面白く拝読しました。

中島 ありがとうございます。小林さんとは以前、出版関係の会で一度お目にかかって以来、SNSを通じてもご縁がありましたよね。コロナ禍が始まってからは小林さんたち生活困窮者支援団体の皆さんが、家や仕事を失い困っている方々を助けて東奔西走していらっしゃるのを「すごいなあ」と陰ながら応援していました。

小林 ありがとうございます。中島さんが入管のことをたくさんSNSに投稿されるようになって注目していたら、『やさしい猫』の連載が始まって。その頃ちょうど私たちのところへも、入管で仮放免された外国人の方から次々とSOSが来るようになり、そうした問題を題材に小説を書いている中島さんの存在を心強く感じました。