怖くなるほどヒットした「金八先生」

武田 とてもありがたいことですが、この話をしたときはそこまで皆さんに響いていたと思わなかったんです。でも、子どもたちがやけにしーんとして聞いていたのは覚えている。放送のあと、まずクラブのホステスさんの間で、この話をお客さんを迎えるテーブルでするというのが、流行したらしいんですよね。

ゴルゴ ホステスさんたちも出勤前にドラマを見ていたんでしょうね(笑)。本当に社会現象的なヒットでした。

武田 第1シリーズで憶えているのは、世間が揺れているのが分かるんですよね。それほどの視聴率のすごさ。7~8パーセントぐらいから始まって、20~30パーセントを超えていく。

嬉しい反面、怖さもありました。あんな思いは今の時代ではなかなかないと思います。以降、「この字はどういう意味ですか」と質問が来たり、スタッフもよく漢字の話をするようになって、だんだんと坂本金八には漢字のイメージが定着していきました。

ゴルゴ 「金八先生」を見て、先生を目指した人もたくさんいます。いまも日本人の中の「理想の先生像」になっている。どのシリーズを見返しても、いろんな角度、いろんな人たちを描きながら、どう生き抜いて行くかを教えてもらえる。子どもたちの命に向き合いながら、どう導いていくかが本当に面白い。名作です!